◎ 日本語議が日本語教育に関する試験についてヒアリング

日本語教育推進議員連盟(日本語議連)は30日、衆院第一議員会館の会議室で第7回総
会(勉強会)を開き、日本語教育に関する試験について議論を行った。ヒアリングをした
のは、独立行政法人・国際交流基金、同・日本語学生支援機構、公益財団法人・日本国際
教育支援協会の3団体で、目的や内容が異なるそれぞれの試験の実施状況を報告した。

 国際交流基金の日本語能力試験は外国人留学生など日本語を母語としない人が対象で、
日本語能力を「N1からN5まで5つのレベル で判定する、最も重要な試験だ。村田春文
・日本語試験センター事務局長らが昨年、海外73の国・地域の228都市と日本国内135会場
で過去最高の計75万5802人が受験したことを明らかにした。

日本学生支援機構が実施する日本留学試験については、鈴木美智子留学生事業部長が説
明。この留学のための試験は日本語だけでなく基礎学力も評価するもので、14か国17の都
市で実施されている。ただし、基礎学力は自国の教育内容に沿った内容にすべきと考える
中国では実施されていない。このため香港で行われる日本留学生試験を受験する中国人が
多いという。

また日本国際教育支援協会の日本語教育能力検定試験は、日本語教員を目指す人や す
でに日本語教員として教育に携わっている人が受験している 試験開発グループの川端一
博グループリーダーによると、教員になるために同検定試験の「合格を必須」または「合
格していることが望ましい」とする日本語学校が87%にのぼるといい、毎年、6000人前後
が受験している。

留学生をはじめ外国人の日本語能力を評価するのに最も多くの外国人に活用されている
のは日本語能力試験だが、ビジネス日本語や在留外国人の「やさしい日本語」など、日本
語のニーズが多様化している中で、使われる日本語の中身に応じた試験も必要だとの指摘
もある。試験の在り方が日本語教育の内容に大きな影響を与えている現状もあり、試験の
多様化も課題になりそうだ。

日本語議連は、先に発足した立法チームで「日本語教育推進基本法 の原案を作成する
方針で、そのために今後、さらに2~3回のヒアリングを行うとみられる。河村建夫会長
は総会の締めくくりの挨拶で「日本語の試験を多くの人が受けているのは、皆様方の努力
によるもの。それだけ日本に対する関心が高いわけで、課題はいろいろあるようですが、
日本語教育の推進のために支援策を作っていきたい」と述べた。

にほんごぷらっと編集部にほんごぷらっと編集部

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の編集部チームが更新しています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

3月
29
1:00 PM こまつなキャラバン#03 -2025 in ... @ 愛知大学名古屋キャンパス
こまつなキャラバン#03 -2025 in ... @ 愛知大学名古屋キャンパス
3月 29 @ 1:00 PM – 4:30 PM
◆ワークショップ(13:00〜14:30)徳弘康代氏(名古屋大学特任教授)  「漢字でことばを増やし直感力を培う漢字学習の提案」 ◆ワークショップの後、講師と世話人による鼎談、交流会、書籍展示も行います。
1:30 PM 凡人社日本語サロン研修会 会話練... @ ECC国際外語専門学校2号館
凡人社日本語サロン研修会 会話練... @ ECC国際外語専門学校2号館
3月 29 @ 1:30 PM – 3:30 PM
凡人社日本語サロン研修会 会話練習で終わらせない!合意形成を目指すディスカッション [日 時] 3月29日(土)13:30~15:30(受付開始13:00)※日本時間   [会 場] ECC国際外語専門学校2号館(大阪市北区中崎西1丁目5番11号)   [対 象] 大学、日本語学校の日本語教員、日本語教育ボランティア、日本語教育に関心のある方   [定 員] 50名(会場での対面参加のみです) ※先着順、定員になり次第締め切ります   [参加費] 無料   [講 師] 香月 裕介 先生 下岡 邦子 先生 福原 香織 先生 (『留学生のためのディスカッショントレーニング』著者) [内 容] 日本語の授業で留学生がディスカッションをするときに、「ただのおしゃべりみたいになってしまうなあ」と感じたことはありませんか。本書は、「相手と協力的に意見交換を行い、一つの結論を出す(=合意形成をする)」ための表現や技術を学び、 留学生が適切にディスカッションに参加できるようになることを目的としています。 セミナーでは、これまでに行ってきた実践の様子をご紹介します。 また、本書に基づいたディスカッションを実際に体験していただきます。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/吉田)   E-mail:yyoshida@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに 「日本語サロン研修会 3月29日」と入れて、本文に氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォームはこちら
4月
19
10:00 AM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン
4月 19 @ 10:00 AM – 11:00 AM
凡人社オンライン日本語サロン研修会『実践に基づく「やさしい日本語」の論点整理』 [日 時] 4月19日(土)10:00~11:00(オープン 9:40)※日本時間   [対 象] 日本語教育関係者、多文化共生に関心のあるすべての方   [定 員] オンライン:250名 ※ 先着順、定員になり次第締め切ります   [参加費] 無料 ※ 要予約、前日(4/18)17 時までに招待 URL を送ります   [講 師] 岩田 一成 先生(聖心女子大学)   [内 容] 『やさしい日本語ってなんだろう』(ちくまプリマー新書)を解説します。 10 年以上実践活動に関わって来て、まだまだ一般の人に「やさしい日本語」の理念は広がっていないなあと感じています。 病院関係者は英語志向が強いですし、学校のお知らせは規範に則って冗長なあいさつが冒頭部分を占領しています。 そして国や自治体の文書は細かい・抽象的・長い・硬い…といろいろなクセがあります。 これらは場面別にストラテジーを練る必要があると考えています。その際に大事な論点がいくつかあります。 ・「やさしい日本語」は話し言葉と書き言葉で別物である ・悪文追放は本来「やさしい日本語」運動とは無関係である ・メッセージの内容や社会制度が文章に強く影響を与える そんなお話をしたいと考えています。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井) E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※ 下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(4/19)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 お申込みフォーム→https://forms.gle/8A4mTHwVKRaUG3Y39
4月
27
4:00 PM オンライン読みもの作成入門講座 @ オンライン
オンライン読みもの作成入門講座 @ オンライン
4月 27 @ 4:00 PM – 7:00 PM
オンライン読みもの作成入門講座 概要 NPO多言語多読が作成した多読用読みものがどうやって作られているかを知り、実際に小グループで作る体験をしていただきます。初級学習者と中級学習者向けの2つの読みもののリライトを扱います。 ≫ 過去の報告を読む 講座の内容 多読用読みものの現状 多読用読みもののレベル分けについて 求められている題材とは? 初級向け、中級向けの多読用読みもの作成体験 作成した読みものへのフィードバック ※内容は参加者に合わせて変更することがあります 参加対象者 多読用読みもの作りに興味をお持ちの方 多読授業をやっている方で、ご自分の現場に合わせた読みものを作成したい方 NPO多言語多読の読みもの作りに参加したいとお考えの方 基本的に多読について知識がある方を対象にしていますが、多読について知識がない方は事前にご相談ください。

注目の記事

  1. 新年を迎えて 2024年は日本語教育の大変革の年 日本語教師は新たな自己改革を 2024年…
  2. 【お知らせ】「やさしい日本語」で外国人の労災防止を―「にほんごぷらっと」でシンポジウムの動画を公開 …
  3. 移民政策の先駆者・故坂中英徳さんを偲んで 第三話 坂中論文 在日コリアンに関心の…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate