毎日新聞が「やさしい日本語」の可能性を考えるシンポジウム開催

毎日新聞が「やさしい日本語」の可能性を考えるシンポジウム開催

外国人受け入れに新たな道を開く改正入管法が4月に施行されるのを前に3月11日、シンポジウム「外国人受け入れと『やさしい日本語』」(毎西新聞社主催、西日本新聞社特別協力、日本語教育情報プラットフォーム協力)が東京都千代田区の毎日ホールで開かれ、約120人が訪れた。

「やさしい日本語」には、災害・防災のための日本語、役所言葉、ツーリズムの日本語、多文化共生のための日本語と様々な使われ方がある。それぞれ外国人と日本人の共通のコミュニケーション手段として、また共生社会実現の〝ツール〟として「やさしい日本語」が注目を集めているが、その実践例などの情報を共有し、その可能性をさぐるのがシンポジウムの目的。

パネリストとして明治大学国際日本学部の山脇啓造教授▽田中宝紀(いき)YSCグローバル・スクール責任者▽吉開章やさしい日本語ツーリズム研究会事務局長▽坂本信博西日本新聞社編集局デジタル編集局チームデスクの4人が参加。コーディネーターを石原進元毎日新聞論説副委員長=日本語教育情報プラットフォーム(にほんごぷらっと)代表世話人・編集長=が務めた。

シンポは第一部で4人のパネリストがプレゼンテーション行った。政府や地方自治体の多文化共生政策をリードする山脇氏は、自身のゼミ生が地域の商店などで行った「やさしい日本語ツアー」のの取り組みを紹介した。田中氏は日本語を母語としない若者の自立支援に取り組み、そうした課題の解決に政府が正面から取り組むよう訴えた。

電通に勤務するかたわら日本語教師の資格を取得した吉開氏は、やさしい日本語を活用した福岡県柳川市のツーリズムの例や「やさしい日本語」のマスコミ報道の広がりなどを説明し、国としても「やさしい日本語」の普及に努めるべきだと訴えた。坂本氏はウエブサイトで「やさしい西日本語新聞」の取り組みを始めたことを報告。新聞社として試行錯誤を繰り返しながらその質を高めていることを述べた。

第二部のパネルディスカッションではパネリストがフロアからの質問に答える一方、さらに追加の事案や持論を紹介。コーディネーターの石原氏は超党派の国会議員が議員連盟は日本語教育推進法案を今国会に提出する準備を進めていることを報告し、「日本語教育推進法案が成立すれば『やさしい日本語』を含め日本語教育全体が大きく前進する」と法案成立に来た期待感を示した。

なお、毎日新聞は3月28日朝刊(関東圏発売)でシンポの抄録を特集する。「にほんごぷらっと」のサイトは4月にシンポの動画を掲載する予定。

毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20190311/k00/00m/040/165000c

西日本新聞

https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/493481/

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凡人社オンライン日本語サロン研修会『実践に基づく「やさしい日本語」の論点整理』 [日 時] 4月19日(土)10:00~11:00(オープン 9:40)※日本時間   [対 象] 日本語教育関係者、多文化共生に関心のあるすべての方   [定 員] オンライン:250名 ※ 先着順、定員になり次第締め切ります   [参加費] 無料 ※ 要予約、前日(4/18)17 時までに招待 URL を送ります   [講 師] 岩田 一成 先生(聖心女子大学)   [内 容] 『やさしい日本語ってなんだろう』(ちくまプリマー新書)を解説します。 10 年以上実践活動に関わって来て、まだまだ一般の人に「やさしい日本語」の理念は広がっていないなあと感じています。 病院関係者は英語志向が強いですし、学校のお知らせは規範に則って冗長なあいさつが冒頭部分を占領しています。 そして国や自治体の文書は細かい・抽象的・長い・硬い…といろいろなクセがあります。 これらは場面別にストラテジーを練る必要があると考えています。その際に大事な論点がいくつかあります。 ・「やさしい日本語」は話し言葉と書き言葉で別物である ・悪文追放は本来「やさしい日本語」運動とは無関係である ・メッセージの内容や社会制度が文章に強く影響を与える そんなお話をしたいと考えています。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井) E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※ 下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(4/19)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 お申込みフォーム→https://forms.gle/8A4mTHwVKRaUG3Y39
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