日本語教育研究会で池上彰氏が講演 防災の「やさしい日本語」を紹介


日本語教育研究会で池上彰氏が講演 防災の「やさしい日本語」を紹介

一般社団法人・全国各種学校日本語教育協会など主催の日本語教育研究会が3月14日、東京都荒川区の日暮里サニーホールで開かれた。この催しは「多文化共生社会における日本語教育の役割」がテーマで、ジャーナリストの池上彰氏が「生活の中のにほんご」と題した講演を行った。

元NHK記者でテレビのコメンテーターとして活躍する池上氏は、10の大学に籍をおく教育者でもある。講演、執筆活動も精力的にこなす。池上氏は自らを「日本語教育の専門家ではない」と断りながら、防災に関する「やさしい日本語」の重要性を語った。

池上氏は「大きな災害が起きた時に、日本に来たばかりの外国人にどうやって避難してもらうか。東日本大震災の時に防災無線で『高台に避難してください』と呼び掛けがあったわけです。日本人にはわかるわけですが、これが何のことかわからないという外国人が大勢いたという報告があります。『高いところに逃げてください』という言い方をすれば、子供たちにも理解できる」と話した。

そのうえで、「地震大国」は「地震が多い国」、「断水」は「水道から水が出ません」「水道が使えません」、「避難所」は「安全な場所」に言い換えることを提案。マスコミが使う「被災」、役所の用語の「罹災」については、「外国人には何のことがわからない」と指摘し、「被害に遭った』という言い方ができるのではないか」と述べた。

 

研究会の参加者は多くが日本語学校の関係者だ。日本語学校が外国人留学生に学ばせているのは大学などへの進学のための日本語で、「やさしい日本語」ではない。しかし、4月の改正入管法の施行により、「多文化共生社会」への取り組みが加速され、「やさしい日本語」の〝需要〟が高まりそうだ。

このあと研究会では、法務省入国管理局の根岸功参事官らをパネリストに「入管法改正の趣旨、多文化共生社会の構築と日本語教育の役割」をテーマにシンポジウムが開かれた。

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凡人社オンライン日本語サロン研修会『実践に基づく「やさしい日本語」の論点整理』 [日 時] 4月19日(土)10:00~11:00(オープン 9:40)※日本時間   [対 象] 日本語教育関係者、多文化共生に関心のあるすべての方   [定 員] オンライン:250名 ※ 先着順、定員になり次第締め切ります   [参加費] 無料 ※ 要予約、前日(4/18)17 時までに招待 URL を送ります   [講 師] 岩田 一成 先生(聖心女子大学)   [内 容] 『やさしい日本語ってなんだろう』(ちくまプリマー新書)を解説します。 10 年以上実践活動に関わって来て、まだまだ一般の人に「やさしい日本語」の理念は広がっていないなあと感じています。 病院関係者は英語志向が強いですし、学校のお知らせは規範に則って冗長なあいさつが冒頭部分を占領しています。 そして国や自治体の文書は細かい・抽象的・長い・硬い…といろいろなクセがあります。 これらは場面別にストラテジーを練る必要があると考えています。その際に大事な論点がいくつかあります。 ・「やさしい日本語」は話し言葉と書き言葉で別物である ・悪文追放は本来「やさしい日本語」運動とは無関係である ・メッセージの内容や社会制度が文章に強く影響を与える そんなお話をしたいと考えています。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井) E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※ 下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(4/19)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 お申込みフォーム→https://forms.gle/8A4mTHwVKRaUG3Y39
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