法務大臣が「やさしい日本語ガイドライン」を発表

法務大臣が「やさしい日本語ガイドライン」を発表

森まさこ法務大臣は8月28日の閣議後の記者会見で、出入国在留管理庁が文化庁とともに「やさしい日本語ガイドライン」を策定したと発表した。国や地方自治体などが「やさしい日本語」を使う機会を増やすことで、在留外国人に必要な情報が届くようにする。

在留外国人は、2019年末で約293万人にのぼり30年で3倍に増えた。国籍の多様化も進み、中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジルの5カ国で外国人の7割余りを占める。外国人が安心して暮らすためには、法律や在留手続き、災害・避難情報などを正しく理解することが必要だ。外国人を対象にした調査では「日常生活に困らない言語」について「日本語」との答えが63%にのぼり、「英語」の44%を上回った。また、別の調査では「希望する情報発信言語」として「やさしい日本語」を選んだ人は76%もいた。

こうしたことから出入国在留管理庁と文化庁が日本語教育や多文化共生の研究者らによる有識者会議を設置し、市町村や学校、企業などで活用するための「やさしい日本語」の在り方を検討し、ガイドラインを作成した。

ガイドラインでは、①日本人にもわかりやすい文書にする②言葉をやさしく書き換えたりルビをつけたりして外国人にわかりやすいよう書き直す③こうして作った文案を日本語教師や外国人に確認してもらい、伝わるかどうか確認する――という3つのステップを提示した。また「一文は短くする」「3つ以上のことを言う時には箇条書きにする」「回りくどい言い回しや不要な繰り返しはしない」「外来語(カタカナ語)はできる限り使わない」などのポイントも示した。

さらに「別冊 やさしい日本語」として、「育児休業」を「子どもを育てるために、とることができる休み」、「医療保険」を「みんなからお金を集めて、けがや病気で病院に行く人を助ける制度」など、約130の用語の書き換え例をまとめた。

法務省は、研修などを通じて自治体職員らにガイドラインを周知させ、「やさしい日本語」の普及に努めるという。

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