日本語議連に期待する(インタビューシリーズ2)

日本語議連に期待する(インタビューシリーズ2)
◎宮崎計実・情報誌「グローバル・コミュニティ」編集長(情報誌を発刊するかたわら、日本人学生と留学生のペアインターンシップや日本人学生と留学生の国際紅白歌合戦を企画するなどなど多彩な活動に取り組む)=聞き手・石原進

――日本語学校などの留学生との付き合いが長いですね。
宮崎氏 留学生といえば、どうしても大学とか高等教育の留学生に目がいってしまいますが、本当に大事なのは日本語学校の留学生だと思う。日本語学校の先生は極めて重要な存在で、言葉だけでなく、来日して初めて日本での生活全般、様々なことを教えてくれます。困った時に留学生は誰に相談するかといえば、卒業してからもそれは日本語学校の先生だという話もよく聞きます。政府は「留学生30万人計画」を進めていますが、もっと日本語学校の存在に目を向けるべきだと思う。日本語学校側も組織的にもう少しうまく動けばその存在が多くの人に知られるようになるのだが。

――日本語教育の在り方を議論する日本語教育推進議員連盟ができました。
宮崎氏 政治の世界で話題になれば、一般の人にも認知されるようになる。議員連盟ができたことで、日本語教育や日本語学校が注目されるわけですから、議連の存在はすごく意味があると思う。日本語教育の中身もレベルアップして欲しい。

――独自に留学生支援をしていますね。
宮崎氏 留学生に何が一番大変かと聞いたら、家を借りることだと言うんです。そこで不動産会社にお願いして留学生のインターンシップをやったんです。不動産業界の中にカウンターパートになってくれた素晴らしい人がいたので、7年間も続き、留学生への理解が深まっています。日本の企業担当者と留学生がペアになってお互いが学び合うというインターンシップは、他にありませんし、両者にとって一生忘れることがない経験になっています。観光庁の後援をもらって地方の旅館や観光局と連携して地域起こしのインターンをする機会もつくりました。また、留学生が日本の学生と友達になる機会が少ないと聞いていたので、国際紅白歌合戦というイベントを6年前から毎年、東京で開いています。歌を通じた国際交流です。

――来年はフィリピンのセブ島で国際紅白歌合戦を開くそうですね。
宮崎氏 その準備のため日本語を勉強しているフィリピン人の学生に会いにセブ島の大学に行きました。訪問した大学には正規の日本語講座はなくパートの先生によるちょっとした講座しか開かれていませんでした。中国語や韓国語はきちんとした講座があり、教材や先生も派遣しているようでした。中国、韓国は自分の国の文化を広めようと懸命に取り組んでいます。カラオケに行っても韓国のKポップばかり。どこでも「あなたはコリアンですか」と聞かれた。国際紅白歌合戦を海外で開くことによって、日本語を習う人の間で評判になれば、歌を通じて日本語の普及にも貢献でき、日本の存在感も高まるかもしれません。

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6月
12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
6月
29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
11月
22
7:00 PM 教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
11月 22 @ 7:00 PM – 12月 13 @ 8:30 PM
※この講座の内容は2022年実施分に準じます。 教室内談話: 学習者間相互交流とL2学習を考える 学習者同士が互いに話し合う活動は、近年の外国語(L2) 教室には不可欠です。また、学習者同士 が学習言語で対話する活動の意義やL2 習得における効果は、外国語教育において興味深いトピッ クの1 つです。本講義では第二言語習得理論を適宜参照しながら、外国語教室で行われる学習者同 士の対話の意義や先行研究で明らかになっている効能、より効果的な実践法や課題と展望について 考察を深めます。 【全4回】 日程: 第1回:2024年11月22日(金)19:00-20:30 第2回:2024年11月29日(金)19:00-20:30 第3回:2024年12月6日(金)19:00-20:30 第4回:2024年12月13日(金)19:00-20:30 内容: 第1回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語習得理論 第2回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語学習 第3回:「学習者同士のL2 対話」と教師 第4回:「学習者同士のL2 対話」とこれからのL2 指導 【受講料】9,000円(税込)※1講座のみお申込み:2,500 円(税込)

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