国際交流基金の日本語能力試験は外国人留学生など日本語を母語としない人が対象で、
日本語能力を「N1からN5まで5つのレベル で判定する、最も重要な試験だ。村田春文
・日本語試験センター事務局長らが昨年、海外73の国・地域の228都市と日本国内135会場
で過去最高の計75万5802人が受験したことを明らかにした。
日本学生支援機構が実施する日本留学試験については、鈴木美智子留学生事業部長が説
明。この留学のための試験は日本語だけでなく基礎学力も評価するもので、14か国17の都
市で実施されている。ただし、基礎学力は自国の教育内容に沿った内容にすべきと考える
中国では実施されていない。このため香港で行われる日本留学生試験を受験する中国人が
多いという。
また日本国際教育支援協会の日本語教育能力検定試験は、日本語教員を目指す人や す
でに日本語教員として教育に携わっている人が受験している 試験開発グループの川端一
博グループリーダーによると、教員になるために同検定試験の「合格を必須」または「合
格していることが望ましい」とする日本語学校が87%にのぼるといい、毎年、6000人前後
が受験している。
留学生をはじめ外国人の日本語能力を評価するのに最も多くの外国人に活用されている
のは日本語能力試験だが、ビジネス日本語や在留外国人の「やさしい日本語」など、日本
語のニーズが多様化している中で、使われる日本語の中身に応じた試験も必要だとの指摘
もある。試験の在り方が日本語教育の内容に大きな影響を与えている現状もあり、試験の
多様化も課題になりそうだ。
日本語議連は、先に発足した立法チームで「日本語教育推進基本法 の原案を作成する
方針で、そのために今後、さらに2~3回のヒアリングを行うとみられる。河村建夫会長
は総会の締めくくりの挨拶で「日本語の試験を多くの人が受けているのは、皆様方の努力
によるもの。それだけ日本に対する関心が高いわけで、課題はいろいろあるようですが、
日本語教育の推進のために支援策を作っていきたい」と述べた。