文化庁から日本語教育に関する意見募集が2件、ふるって応募を
文化庁が、日本語教育に関係する2つの大きな意見募集を行っています。
「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告案)」と「文化芸術推進基本計画」で、それぞれ日本語教育推進議員連盟が制定をめざす「日本語教育推進基本法」とも密接に関係するものです。日本語教育関係者に皆さんには、2件の文書を精読され、ぜひとも意見を発信してもらいたいと思います。
文化芸術推進基本計画
まずは締め切りが10日に迫った「文化芸術推進基本計画」について触れたいと思います。計画の根拠法となる文化芸術推進基本法の第19条は「日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発、日本語教育を行う機関における教育水準の向上その他の必要な施策」を国か講じるべきだと規定しています。これを受けて策定されるのが「基本計画」です。
基本法に基づいて基本計画を策定する段取りは、これから制定されるとみられる日本語教育推進基本法の中身と重なるようです。日本語教育に関しても「基本法」が制定されれば、次の段階において基本計画を策定する流れになるのです。
しかも、文化芸術推進基本計画とはいっても、日本語教育に触れた部分が少なくありません。これは日本語議連による日本語教育推進基本法の制定とは別に議論が進んだから当然と言えば当然です。
「在留外国人が増加している中、我が国において外国人が持っている能力を十分に発揮して活躍するには日本語の習得が重要な鍵になる。このため、日本語能力が十分でない者の日本語学習需要に的確に応えていくには、日本語教育実施機関・施設等における日本語教育の専門性を有する人材確保が重要である」
「日本語教育の関係府省・関係機関が連携して日本語教育を総合的に推進する体制の整備・充実を図る」
「国際交流基金を通じて、日本語教育専門家等の海外派遣及び海外の日本語教師等の招聘等研修を通じた海外における日本語教育環境の整備を推進するとともに、インターネット等の情報通信技術を活用した日本語教材・日本語教育関係情報の海外への提供を推進する」
以上は「計画」の中の日本語教育に関する記述の一部ですが、それなり踏み込んだ内容となっています。しかし、考えてみれば、日本語教育の充実が文化芸術の振興にも不可欠であることは当然です。グローバル化が進展する中で、文化芸術の分野でも外国人の活躍が目立っています。外国人が日本の文化や芸術を学ぶには、よりレベルの高い日本語能力が不可欠です。日本語教育をめぐる環境整備が必要になります。
以下は「文化芸術推進基本計画」の意見募集のURLです。ぜひともコメントや提案を寄せて下さい。
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1400048.html
日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告案)
一方、「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告案)」は、急増する外国人に対する日本語教育の質の向上を目指し、文化審議会国語分科会日本語教育小委員会で議論した内容をまとめたものです。
「在り方について」によると、日本語教員の養成については、昭和60年の文部省の日本語教育施策の推進に関する調査報告書で標準的な教育内容が示され、その後、平成12年に文化庁の日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議で新たな教育内容が提示されました。その「平成12年教育内容」が現在、大学等の日本語教員養成機関において、教員養成の基本的な指針として扱われているのです。
しかし、時代の変化とともに様々な課題が指摘され、今回、日本語小委員会がその課題解決の道筋などを議論してきました。「在り方について」は①日本語教育人材に関する現状と課題②日本語人材に求められる資質・能力について③日本語教育人材の養成・研修の在り方及び教育内容について――から成り、今後の意見募集を経て、日本語教員養成の基本方向性を示すものになります。日本語学校の教育現場にも影響が及ぶとみられます。文化庁は各方面から幅広い意見や提言などを求めています。締め切りは26日です。こちらの意見募集のURLは以下の通りです。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/1399774.html