「次なる法律」「就労外国人の日本語教育も」日本語議連の里見事務局次長が日本語学校ネットワークで講演

「次なる法律」「就労外国人の日本語教育も」日本語議連の里見事務局次長が日本語学校ネットワークで講演


[日本語ネットワークの勉強会で講演をする日本語教育推進議員連盟の里見隆治事務局次長]

日本語教育推進議員連盟の里見隆治事務局次長(公明党参院議員)が6月29日、東京都内で開いた日本語学校ネットワークの勉強会に招かれ、「日本語教育推進基本法(仮称)制定に向けて」と題して講演した。先に基本法の原案(政策要綱)が明らかにされたが、条文化の作業と併せて内容の点検が行われている。基本法の中で「検討事項」として位置づけられる日本語学校の制度整備について里見氏は、基本法制定後に「国の宿題」となるほか、日本語議連としても必要であれば「次なる法律」を検討することになる、との見方を示した。

里見氏は厚生労働省出身。職業安定局外国人雇用対策課企画官やEPA受入対策室長を歴任するなど、政界では外国人の雇用、労働のトップレベルの専門家。日本語議連では事務局次長として馳浩事務局長を支えてきたほか、立法チーム(4人)の一員として基本法の原案づくりに携わった。

講演で里見氏はネットワークの会員約50人を前に、まず基本法の原案のポイントとなる条項を説明。この中で基本法が国や地方自治体に対し日本語教育推進の「責務を有する」として責任を明確にするとともに、外国人を雇用する企業には国の施策への「協力」と日本語学習への「支援」を規定していることを指摘し、就労外国人への日本語教育が日本語学校の新たなビジネスになる可能性を示唆した。

また質疑の中で議論の焦点となったのが、基本法原案の中のワーディング。「学校」「日本語教育機関」「評価」などの言葉は、どのように概念を規定するかによって法文の意味合いが変わってくる。それだけ日本語教育の法整備は難しいということだが、日本語議連にはすでに様々な意見が寄せられているという。

「学校」については、第一章の総則の「関係者相互間の連携強化」の項で「学校(学校教育法第一条に規定する学校を言う。以下同じ)、日本語教育を行う機関、外国人等を雇用する機関……」とあるが、法務省告示の日本語学校の中には、学校法人の専門学校と各種学校、学校法人ではない株式会社立の学校など様々な設置形態があり、学校を「一条校だけ」と規定するのはおかしいのでは、との声が出ているという。里見氏は「学校を狭くとらえる必要はないと思う。法律上はなるべく広くしていきたい」と述べた。

「日本語教育機関」については、第三章の基本的施策の「日本語教育機関関係」の項で「国は日本語教育を行う機関の教育水準の維持向上を図るため、必要な措置を講ずるものとすること」とある。ここで言う「日本語教育機関」とは、まさに「日本語教育を行う機関」なのだが、法務省告示の日本語学校だけではなく幅広く考えることが必要だという。しかし、教育の質を担保するためには一定の教育レベルでの線引きが必要だ。里見氏は「いわゆる学習塾的なところまで入るかどうか。その辺はグレーになる」と話した。現時点では解釈が明確になっていないということだ。

そうした事情があったからこそ、日本語学校に関する法的な整備が「検討条項」として扱われたわけだ。第五章その他の「検討」の項目には「国は、次に掲げる事項その他日本語教育機関について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること」とあり、学校の類型化など4点の検討項目を挙げている。

日本語学校はグローバル人材育成の重要な役割を担っているにもかかわらず、その制度の整備があいまいにされてきた。今回、そのツケが回ってきたとも言える。そうした中で、日本語学校は4年前に比べて約200校増え、今年6月8日現在で680校に達している。学校によっては就業目的の外国人を受け入れているケースもあり、日本語学校の在り方が問われている。

また、日本語学校の業界団体が複数あり、業界としてのコンセンサスづくりが難しいのが現状だ。基本法が成立したら、政府は日本語教育に従事する有識者で構成する「日本語教育専門家会議」を発足させる。その委員として日本語学校業界から誰を呼ぶのか。日本語学校に関する議論がまとまるのかどうか。政府関係者の間から、業界の「不協和音」を懸念する声が出ている。

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

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6月
12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
6月
29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
1月
31
10:00 AM 令和6年度生活指導担当者(初任)研修 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和6年度生活指導担当者(初任)研修 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
1月 31 @ 10:00 AM – 5:30 PM
当協会では、日本語教育機関における生活指導担当者の能力向上を図るため、標記研修を実施しております。 今年度におきましても下記により実施しますのでご案内申し上げます。 「認定日本語教育機関に求められる外国人留学生の生活指導支援とは」をテーマに講義とグループワーク及び懇親交流ネットワーク会(任意参加))の三部構成としました。 日頃の業務課題の解決・モチベーションアップに、ぜひご活用ください。 1 日時 令和7年1月31日(金)10:00~17:30 2 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 3 参加要件 日本語教育機関又は大学等教育機関の現場において、 実際に留学生の生活指導に携わり、原則 3 年以内の者。 4 参加費 維持会員機関 8,800円(税込)/1人当たり その他の教育機関  17,600円(税込)/1人当たり 5 応募締切:令和7年1月10日(金) 6 詳細、申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3245&f=news 〔問い合わせ先〕一般財団法人日本語教育振興協会 事業部 小野寺陽子 TEL:03-6380-6557 FAX:03-6380-6587 E-mail: nisshinkyo2@gmail.com
2月
15
10:00 AM 令和6年度 国際化市⺠フォーラム ... @ オンライン(ZOOM)
令和6年度 国際化市⺠フォーラム ... @ オンライン(ZOOM)
2月 15 @ 10:00 AM – 5:00 PM
今年度も国際化市⺠フォーラム in TOKYOを開催します︕ これまで15年以上にわたり例年2⽉に開催しているイベントです。今年度のテーマは「東京がめざす多文化共生、一歩先へ」です。 2024年10月、都内の外国人住民は約70万人、人口の4.9%を超えました。外国につながる人々も含めると、その総数は計り知れません。私たちの身の回りでは、多くの外国人が日本社会の一員として生活し、活躍しています。災害対応や子どもの教育など、在住外国人を取り巻く課題は、日本社会の課題でもあります。今年度の国際化市民フォーラム in TOKYOは、個々のテーマに焦点を当てながら、東京にふさわしい多文化共生の姿について、皆さんと一緒に考えます。 どなたでもお申し込みいただけますので、ぜひご参加ください。 ●開催日時 2025年2月15日(土) 【A分科会】10:00~12:30 【B分科会】14:30~17:00 【C分科会】14:30~16:30 ●開催方法 オンライン(ZOOM) ●定員   各分科会 250名 ●詳細・申込  https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/forum/apply.html 締切:2025年2月9日(日) ※定員となり次第、締め切らせていただきます。 ●参加費   無料 ●問い合わせ 公益財団法人東京都つながり創生財団 多文化共生課 メール:forum@tokyo-tsunagari.or.jp TEL:03-6258-1237 ●各分科会内容 【A分科会】 市民が支える多文化コミュニケーション ~コミュニティ通訳の役割と地域市民ができること~ <司会進行> 松井 和久 氏  独立行政法人国際協力機構 東京センター 市民参加協力第一課 <基調講演> 飯田 奈美子 氏 立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員 <パネリスト> 杉田 理恵 氏 (一社) 多文化社会専門職機構 認定事業 相談通訳者認定者 高田 友佳子 氏 特定非営利活動法人 国際活動市民中心 コーディネーター/クリニカルソーシャルワーカー 藤原 紀子 氏  特定非営利活動法人 たちかわ多文化共生センター 登録語学ボランティア 【B分科会】 外国につながる子どもたちが活躍できる東京を目指して ~小中学校の学びが未来を拓く~ <司会進行> 岩野 英子氏、小野 千穂 氏、古川 美由紀 氏 西東京市多文化キッズサロンコーディネーター <事例発表> 青山 弘子 氏  江戸川区立小岩小学校日本語学級 主任教諭 田中 阿貴 氏  港区立六本木中学校日本語学級 主任教諭 中村 夏帆 氏  岩倉市立南部中学校 教諭(日本語担当) 我彦 有希子 氏 八王子市立南大沢小学校日本語学級 主任教諭 【C分科会】 多文化共生と防災 ~災害に備える共助の力~ <司会進行> 源 亮子 氏 独立行政法人国際協力機構 東京センター 市民参加協力第一課 <基調講演> 楊 梓 氏  阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター リサーチフェロー <事例発表> 奥田 裕 氏、長尾 薫 氏 東京都住宅供給公社 公社住宅事業部 公社管理課 柏村 貴也 氏 中野区 総務部 防災危機管理課 田島 実恵 氏 中野区国際交流協会 姜 秀英 氏  中野区外国人防災リーダー 主催:国際交流・協力TOKYO連絡会、公益財団法人東京都つながり創生財団 共催:東京都 後援:独立行政法人国際協力機構(JICA)、一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR) ※国際交流・協力TOKYO連絡会とは、都内の国際交流協会や外国人支援団体等が加盟するネットワークで、(公財)東京都つながり創生財団が事務局を務めております。 ◆開催までの企画・運営の様子をまとめた「市民フォーラム準備レポート」もご覧ください。 https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/log/shiminforum/ ◆本件は、東京都多文化共生ポータルサイトSNSでも情報発信しております。 ご興味のある方がいらっしゃいましたら、周りの方にもぜひお伝えいただけますと幸いです。 ・X:https://x.com/tmtabunka/status/1876460159977074875 ・Facebook:https://www.facebook.com/tokyo.tabunkaportal/posts/pfbid02sET78zvqcBdiv6QPGGPNUoHs2NB9wGnqcaacfRfDWJZkSVaGz9WRohdcNNfqFGsLl?ref=embed_page

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