政府が「入国管理庁」創設へ 外国人受け入れ歴史的な転換期に
- 2018/7/25
- ぷらっとニュース, 時代のことば
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政府が「入国管理庁」創設へ 外国人受け入れ歴史的な転換期に
政府は7月24日、外国人労働者受け入れに関する関係閣僚会議の初会合を開いた。安倍晋三首相は「即戦力となる外国人受け入れが急務だ。2019年4月をめざし、準備作業を速やかに進めてほしい」と指示した。政府は外国人受け入れの中核組織として法務省に「入国管理庁」を創設する方針だ。秋の臨時国会で関係法令を整備する考えで、日本語教育推進議員連盟が成立を目指す日本語教育推進基本法(仮称)の行方と併せ、外国人受け入れの在り方は歴史的な転換期を迎える。
政府は6月に閣議決定した「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)で、新たな在留資格を創設することによって、これまで認めていなかった分野についての外国人労働者の受け入れを行う方針を示した。建設、農業、介護、造船、宿泊の5分野に加え、製造業も視野に入れ、深刻な人手不足を海外からの労働力で補完しようというわけだ。
安倍首相は「移民政策はとらない」と繰り返し強調しているが、外国人受け入れの拡大路線に舵を切ったことは間違いない。労働力不足によって日本経済が失速しては、アベノミクスを売り物にしてきた安倍政権の存立そのものが危うくなるからだ。
報道によると、関係閣僚会議では今後の外国人受け入れ拡大に向けた支援策として①インタ―ネットを使った日本語教材の提供②生活・就労の一元的相談窓口の設置③医療機関の体制整備――など検討するという。その体制整備に関連して閣議後の記者会見で上川陽子法相は「入国管理庁のような外局を設けることも含め、適切な組織体制、人員確保を速やかに検討したいと述べた。
浜松市などでつくる「外国人集住都市会議」が外国人問題の窓口一本化のため政府に「外国人庁」の設置を強く求めており、こうした要望が実現することは地方自治体にとって極めて意味が大きい。入国管理庁は法務省入国管理局を中心とした組織になると見られるが、地方自治体としては「管理」より教育や福祉、雇用など「生活」に関わる課題を重視しており、これらの課題に対応するためどのような組織になるか注目される。
また、体制整備の中で、最も重視されるのが日本語教育だ。政府もその重要性の認識を共有しているが、日本語議連が成立を目指す日本語教育推進基本法と政府方針との兼ね合いがどうなるのか。外国人労働者のための日本語教育といっても、職種によって教育の中身も変わってくる。また、検定の在り方についても、最も一般的な日本語能力試験は進学のための検定試験だ。教育・検定のあり方も重要課題になりそうだ。
いずれにしろ安倍首相が来年4月の新たな外国人受け入れの体制整備に向け、「速やかな準備」を指示している以上、関係機関は待ったなしの対応が迫られることになる。「移民」という言葉を避け、ともすれば外国人との距離を置きたがるようなイメージを持たれる安倍政権だが、歴代政権がちゅうちょしてきた「移民国家としての装い」を整えることになる。
石原 進