「外国人労働者支援に企業はどう関わるべきか」——三重県議会の小島智子・外国人労働者支援調査特別委員長に聞く

「外国人労働者支援に企業はどう関わるべきか」——三重県議会の小島智子・外国人労働者支援調査特別委員長に聞く

三重県議会が外国人労働者支援調査特別委員会を設置した。外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が4月に施行されたのを受けた地方議会の動きだ。「特定技能」という新たな在留資格が設けられ、三重県内の企業でも外国人労働者が増えることが予想される。三重県議会の取り組みついて、同特別委の小島智子委員長にこのほど名古屋市内で話を聞いた。

(聞き手は、石原進「にほんごぷらっと」編集長)

 

――三重県は外国人の人口が4万7671人(2018年1月)で、人口比でいえば全国4位の2・6%です。ブラジル、ペルーなど日系人が多いですね。まずは、外国人受け入れの現状について話を聞かせてください。

小島委員長 三重県は南北に縦長の地形をしていますが、外国の方が多く住んでいるのは、津市から伊賀、亀山、鈴鹿、四日市、桑名の名古屋市に近い北中部の地域です。1989年の入管法改正で日系人が定住者として来日し、大手の電気や自動車メーカーの下請け工場で働くようになって外国人が増えました。外国人労働者は2万7464人で、リーマンショック後減りましたが、現在は右肩上がりで増えています。私は外国人が集住する地域の中学校の教師をしていましたが、外国籍の子どもが突然やって来て、その子どもの進路や、日本での暮らしに関して、ものすごく難しい問題がたくさんありました。

――どうして、外国人労働者支援調査特別委を設置したのでしょうか。外国人労働者の「支援」が中心のようですか。議会の立場からは何ができるのでしょうか。

小島委員長 特別委員会というのは、1つの部局に限らない幅広い分野にまたがる課題を扱います。昨年の臨時国会で入管法が改正され、「特定技能」という在留資格で外国人労働者が入って来ます。三重県でも外国人労働者が増加する見通しになり、県議会として対応すべきだと提案し、議会としてコンセンサスを得られたので特別委ができました。これまで外国の方がいっぱい三重に来られて、課題もあったのに解決できなかったこともたくさんあります。その中で、当面の課題は労働問題ですから、労働者をどのように支援したらいいのかを考えるために調査をし、議論を深めたいと考えています。一応は1年間を期限としますが、必要があれば期間の延長も委員の皆さんと検討したいと思います。

――外国人問題に対する三重県の取り組みをどう見られていますか。政府が対応策をまとめるなどようやく重い腰を上げたわけですが、これまでは多くの課題が地方自治体に丸投げされていました。

小島委員長 三重県は「多文化共生社会づくり指針」を策定し、基本理念や行動計画を定めていますが、十分でなく強化すべきであると考えています。多文化共生社会といっても、ぼんやりとしたとらえ方しかしていません。外国人が集住する団地もありますが、日本人とのつながりが十分でないところが少なくありません。

――今回の特別委員会の外国人労働者の支援ということですが、最大の狙いはどこにあるのでしょうか。

小島委員長 特別委では、外国人労働者受け入れの制度がどのように変わっていくのか、ということの認識を共有し、例えば「特定技能1」の試験がどこでどのように行われるのかというような課題を含め調査し、確認していきたい。これまでは外国人を雇用する企業の社会的な役割や関わりが余り問われなかった。そうした経緯について目を向けていきたい。外国人は労働者であるとともに、生活者でもあるわけです。社会の中で暮らす外国人へのサポートについて企業としてどこまで関われるのか。政府は外国人受け入れのワンストップセンターを全国に設置すると言っているが、三重県としてはどのようなかたちにすればいいのか。問題は多岐にわたりますが、重点項目を絞り込んでいきたい。

――「外国人との共生」を目指す中で、具体的な取り組みとして日本語教育や防災、祭りへの参加などを通じて彼らとの「つながり」を作ることが考えられます。特別委としては今後、どのように考えていくのでしょうか。

小島委員長 日本語教育は熱心なボランティアの人たちに支えられていますが、無償で教えていただいている現状を変えなければいけないと思います。教材、コピー代もかかります。支援する仕組みが必要です。にもかかわらず県の日本語教育予算はゼロです。日本語教育の推進に関する法律が成立しました。県としてもきちんとした取り組みが必要です。

外国人を雇用する企業は、まだ防災のことまでは考えていないのでは。今年は大きな被害が出た伊勢湾台風から60年です。大規模な訓練があるそうですから、そこに外国人の方も参加してもらうべきです。お祭りに外国人が参加してくれるのはいいですね。祭りを頑張って続けているところでも、人がいなくて大変です。

――特別委のこれまでの審議に状況と今後の予定を教えてください。委員長ご自身の問題意識をお聞かせください。

小島委員長 先に三重県の雇用経済部、環境生活部、教育委員会からヒアリングを行いました。また公益財団法人・三重県国際交流財団からも取り組みを聞きました。近く名古屋出入国在留管理局の局長ら幹部の方にも参考人としておいでいただく予定です。先進的な他県の取り組みも視察したいと考えています。そうした取り組みの中で外国人労働者の就労支援とともに、生活者としての外国人の暮らしをどのように保障できるのか、を考えていきたい。企業の役割や関わりについても考えたい。そのうえで、最終的には、三重県の共生社会に資するような提言をまとめ知事に提出したいと思います。   (了)

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留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
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日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
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留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
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本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
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