留学生教育学会に300人 外国人が増加する中、日本語教育を多角的に議論
- 2019/8/26
- ぷらっとニュース, 多文化共生
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留学生教育学会に300人 外国人が増加する中、日本語教育を多角的に議論
留学生教育学会は8月23、24の両日、東京都荒川区の赤門会日本語学校などで、2019年度の研究大会を開いた。4月に改正入管法が施行され、先の通常国会では日本語教育推進法が成立したのを受け、今回は「岐路に立つ高等教育と日本語教育―新しい外国人制度について考える」がテーマ。時宜を得たシンポジウムや研究発表に、2日間の参加者は前会を大きく上回る約300人にのぼり、熱心な議論が展開された。
留学生教育学会は、留学生に対する教育あるいは指導・支援に携わるすべての国内外の留学生関係者に開かれた学会で、留学生に関する生きた学問研究を遂行することを目的としている。大学をはじめ、専門学校学会や日本語学校の研究者や教員などが会員の多くを占め、多岐にわたるテーマを実践的に取り上げている。最近では非漢字圏の留学生の急増などの情勢の変化を踏まえ、各教育機関が垣根を超えてより魅力ある留学環境の整備に取り組むことが求められている。
今回の研究大会は、入管法の改正で外国人労働者の受け入れ枠が拡大し、日本語教育の重要性か高まっていることから、より多角的な日本語教育の在り方を議論した。留学生の日本語教育の基盤を支える日本語学校が初めて会場として選ばれたのも、そうした時代の要請に応えたものだ。
初日のシンポジウムでは出入国在留管理庁の根岸功・在留管理課長と文部科学省の丸岡充学生・留学生課長補佐が基調講演を行った。根岸課長は改正入管法で新たに創設された「特定技能」の在留資格や「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策」など、政府の取り組みについて説明。この中で「共生社会」をつくるための外国人支援と日本語教育の重要性を強調した。根岸課長は「総合的対応策」の中に「日本語」という言葉が95回、「日本語教育」も44回使われていることを紹介したうえで、「外国人受け入れのインフラとして極めて日本語教育が重要だということです」と述べた。
丸岡課長補佐は留学生受け入れをめぐる最近の動向を報告した。留学生が増加する中で、大学や専門学校にも「留学」の趣旨を逸脱した事例が見られると警鐘を鳴らし、適切な在留管理の徹底を呼び掛けた。
また、ワークショップでは赤門会日本語学校や東京ギャラクシー日本語学校の教師が自校の教育の実践報告を行ったほか、早稲田大学日本語教育研修センターの金孝卿(キム ヒョギョン)准教授が「協働学習に基づく活動デザイン」と題して講演した。さらに「外国人との協働・共生」に関するシンポジウムやアセアンからの人材獲得に向けての関西経済団体連合会の取り組の報告もあった。
また24日には、専門学校・日本語学校からの事例報告として、非漢字圏学生への指導や、地域との共生などについて発表をはじめ、特定技能の現状についても現場からの報告も行われた。
にほんごぷらっと編集部