公認日本語教師のパブコメに1,700件の意見 試験や教育実習にオンライン活用の提案も

公認日本語教師のパブコメに1,700件の意見 試験や教育実習にオンライン活用の提案も

文化庁は10月12日に開いた文化審議会国語分科会に「日本語教育の推進のための仕組みについて」の報告書に対する意見募集(パブコメ)の結果を報告書にまとめ公表した。寄せられたパブコメは団体から12件、個人から843件の計855件で、意見の総数は1707件にのぼった。意見の約75%は日本語教師の資格に関するものだったが、コロナ禍の影響でオンライン授業が普及したこともあって、資格試験や教育実習などへのオンライン対応を求める声が目立った。

パブコメの対象とされた文書は、日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議の意見を踏まえてまとめた「日本語教育推進のための仕組みについて~日本語教師の資格及び日本語教育機関評価制度~」。この中では「日本語教師の資格について」と「日本語教育機関の水準の維持向上を図るための仕組みについて」が大きな柱となっている。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_78/pdf/93463601_04.pdf

文化庁は8月20日から9月17日までウエブサイトなどでパブコメを受け付けた。その内容を文化庁が精査、整理し、「国民からの意見募集の結果」を以下の報告書をまとめた。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_78/pdf/93463601_05.pdf

それによると、「日本語教師の資格」に関する分野の意見が1302件と最も多く、その内訳は「現職日本語教師等の資格取得方法」(398件)▽「試験の一部免除及び教育実習の免除」(129件)▽「教育実習」(111件)▽「試験の内容及び実施体制等」(100件)など。「日本語教育機関の水準の維持向上を図るための仕組み」は計316件あり、このうち「日本語教育機関の類型と申請主体」(107件)や「制度の詳細」(67件)「評価制度の審査項目」(65件)など意見が多かった。

具体的な意見としては、目立ったのはオンラインに関するもの。「日本語教育に関してオンライン授業が切り離せない状況になっている」「オンライン授業に対応できる資質についても試験で測るべき」「教育実習においてもオンラインを取り入れるべき」「国外で公認日本語教師を目指すものに対して、在外指定日本語教師養成機関もしくはオンラインで全て受講が可能な指定日本語教育機関を設立することが望ましい」「研修内容の質の担保を文化庁が保証し、オンラインやオンデマンド等,受講形態に柔軟性を持たせることが望ましい」--などオンライン化を求める声が目立った。

文化庁は公認日本語教師の資格創設などを目的とした法案を来年の通常国会に提案する予定だ。今回、寄せられたパブコメは法案づくりの参考資料として活用するほか、法務省など関係省庁とも認識を共有なするなどして政府としての日本語教育への理解を深めたいとしている。

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