LSH奨学金授与式で李秀賢さんの作文を披露 趣味はマウンテンバイク

LSH奨学金授与式で李秀賢さんの作文を披露 趣味はマウンテンバイク

韓国人留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さんらがJR新大久保駅で線路に落ちた人を救おうとして電車にはねられ死亡した事故から20年。李さんの事故をきっかけにNPO法人LSHアジア奨学会が発足し、留学生に奨学金を送っているが、11月18日に奨学金の授与式でその数は1000人を超えた。授与式では李さんが赤門会日本語学校(東京都荒川区)で日本語を学んでいたと時に書いた「私の趣味」という題の作文を公表した。李さんらしいエピソードなので紹介する。

作文は当時の李さんの担任の先生が保管していたが、今回、母の辛潤賛(シン・ユンチャン)さんの了解を得て公表した。その中で李さんは「今の趣味はマウンテンバイク、水泳、テニス、ギター等々、大部分がスポーツです」と書いた。その理由について「いっしょうけんめい走ったり、泳いだり、汗を流して、私の体力の限界を感じたいからです」と述べた。さらに「マウンテンバイクに乗って山に登ると、もちろんつかれますが、きれいな空気や自然の大きさによって、もう一度自分自身のことを見つめ直すようになります」としたたた。

李さんはマウンテンバイクに乗って富士山の登山に挑戦したエピソードが知られ、その写真も紹介されている。作文は250字余りの短いものだが、李さんの気持ちが自筆でつづられ、20年に時間を超えてすがすがしさを伝えてくれる。

また、公益財団アジア学生文化協会の白石勝己理事長からLSHアジア奨学会に寄せられた手紙によると、李さんは留学生相談を担当していた白石さんを訪ね、「日本の国旗はどこで買えますか」と尋ねた。理由を聞くと、「自転車に韓国と日本の国旗をつけて富士山に登るんです」と答えたという。これも李さんの人柄をほうふつとさせるエピソードである。

同文化協会は、「留学生の父」と呼ばれた故穂積五一氏が運営した「新星学寮」がルーツ。新星学寮は、外国人留学生と日本人学生による共同生活や学生自治を通じて人格養成の場となっている。その活動はいまも続いている。日本やアジアの政財界で活躍する人材を数多く輩出しており、村山富市首相も新星学寮のOBのひとりだ。

奨学金の授与式には、昨年はコロナ禍で来日できず、オンラインで出席した辛潤賛さんが会場に姿を見せ、「母国を離れた皆さんの夢がかなうことを祈っています」と留学生を激励した。この日は61人に奨学金が送られ、奨学金を授与された留学生は合わせて1059人となった。

にほんごぷらっと編集部

にほんごぷらっと編集部にほんごぷらっと編集部

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の編集部チームが更新しています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

6月
12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
6月
29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
11月
22
7:00 PM 教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
11月 22 @ 7:00 PM – 12月 13 @ 8:30 PM
※この講座の内容は2022年実施分に準じます。 教室内談話: 学習者間相互交流とL2学習を考える 学習者同士が互いに話し合う活動は、近年の外国語(L2) 教室には不可欠です。また、学習者同士 が学習言語で対話する活動の意義やL2 習得における効果は、外国語教育において興味深いトピッ クの1 つです。本講義では第二言語習得理論を適宜参照しながら、外国語教室で行われる学習者同 士の対話の意義や先行研究で明らかになっている効能、より効果的な実践法や課題と展望について 考察を深めます。 【全4回】 日程: 第1回:2024年11月22日(金)19:00-20:30 第2回:2024年11月29日(金)19:00-20:30 第3回:2024年12月6日(金)19:00-20:30 第4回:2024年12月13日(金)19:00-20:30 内容: 第1回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語習得理論 第2回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語学習 第3回:「学習者同士のL2 対話」と教師 第4回:「学習者同士のL2 対話」とこれからのL2 指導 【受講料】9,000円(税込)※1講座のみお申込み:2,500 円(税込)
11月
30
1:00 PM ビジネス日本語研究会 第38回 研究... @ オンライン(ZOOM)
ビジネス日本語研究会 第38回 研究... @ オンライン(ZOOM)
11月 30 @ 1:00 PM – 5:00 PM
テーマ:ビジネス日本語における「チームワーク」を考える 現在、外国人材を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。日本で働く外国人労働者の増加、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度の創設などにより、インクルーシブな職場づくりの重要性が増しています。そこで、第38回ビジネス日本語研究会では、「チームワーク」をテーマとします。経済産業省が提唱した「社会人基礎力」のひとつである「チームで働く力」を、インクルーシブな職場ではどのように考えるのか、日本企業で採用に関わる方々のお話も伺いながら、「チームワーク」について、様々な視点から考えます。当日は多くの方にご参加いただき、活発な議論、意見交換が行われることを期待しています。 また、併せて研究発表を実施いたします。

注目の記事

  1. 移民政策の先駆者・故坂中英徳さんを偲んで 第五話 2050年の「ユートピア」 元東京入管局長の…
  2. 第11回国際紅白歌合戦の報告書 第11回国際紅白歌合戦の報告書が「にほんごぷらっと」に送ら…
  3. 軍政と戦うミャンマーの民主派勢力、私たちに何ができるのか ロシアのウクライナ侵攻が続い…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate