日本語学校の留学生の「奮闘ぶり」が読売新聞の連載記事に 

日本語学校の留学生の「奮闘ぶり」が読売新聞の連載記事に 

日本語学校と言えば、一部の学校が留学生の「出稼ぎ」を黙認するなどして批判的に報じられている。そうした報道からは留学生の「素顔」がほとんど見えてこない。日本語学校のネガティブな側面だけを強調するマスコミに対し、苛立ちを募らせる日本語学校関係者は少なくない。

読売新聞が東京都内版でこのほど、「扉を開いて 留学生奮戦記」という連載記事を5回にわたって掲載した。東京都新宿区のカイ日本語スクール(山本弘子校長)に通う外国人留学生に焦点を絞り、留学生の「将来の夢」や「日本社会への不満」などをたんたんと描写した。大手メディアの記者が日本語学校の教育現場に足を運び、正面から留学生に向き合って連載記事として取り上げたのは初めてではないか。

新聞には本紙(全国版)と地方版がある。記者が連載記事を本紙に載せようとしてもハードルが高くて実現しにくいが、地方版なら担当のデスクの了解を取り付ければすんなりOKとなるケースが少なくない。地方版の方が記者の問題意識を反映させる連載記事が多く目につく。

今回の「扉を開いて 留学生奮戦記」も、東京都内版の記事だからこそ取材記者の問題意識が行間から伝わってくるのかもしれない。記者が山本弘子校長に取材して、共感する部分が多かったのではないか。

カイ日本語スクールにはヨーロッパをはじめ多様な留学生が学んでいる。山本校長は政府が留学生の入国制限を強化した際に、仲間と「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」を立ち上げ、日本留学を希望しながら入国できない外国人学生の声を発信するなど活発な活動をしてきた。

山本校長によると、記者3人が7月から8月にかけて連日のように学校を訪れた。学生にインタビューやアンケートを行うなど熱心に取材。山本校長は、入国制限が緩和され、外国人留学生の受け入れ問題への関心が薄れる中、忙しい合間を縫って懸命に取材をしてくれたことに感謝しているという。

紙の新聞は都内の読者しか読むことができないが、ネットで公表されれば、地域に関わりなく記事に目を通すことができる。日本留学への熱い想い。家探しで出会った「外国人差別」、日本での新たな人生設計、祖父の国の食文化への興味……。以下、ネットに公開された「扉を開く 留学生奮闘記」を一読してもらいたい。

①やっと来日「人生の新章」

 https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/feature/CO059492/20220809-OYTAT50038/

② 「祖父の国」 伝統継ぎたい

 https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/feature/CO059492/20220811-OYTAT50049/

③ 日本へ避難 支援に感謝

 https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/feature/CO059492/20220810-OYTAT50053/

④ IT技術日本で生かす

 https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/feature/CO059492/20220812-OYTAT50053/

⑤ 異文化と共生 一歩一歩

 https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/feature/CO059492/20220813-OYTAT50063/

ここで取り上げられた留学生の出身国は、英国、米国、ウクライナ、ブラジルの4カ国。留学生の9割を占めるのはアジア各国の若者だ。読売新聞の記者には別の機会により多くの留学生や日本語学校を取材し、紙面で紹介してもらいたい。

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