「多文化ビジネス」に挑戦する株インバウンドジャパン 外国人向けの不動産事業で成功

「多文化ビジネス」に挑戦する株インバウンドジャパン 外国人向けの不動産事業で成功

在留外国人が急増する中で、政府が「多文化共の社会づくり」を呼びかけている。そのためにはどんな取り組みが必要なのか。人口減少で増える空き家を外国人に提供する事業で業績を上げている不動産会社がある。東京都新宿区の株式会社インバウンドジャパンだ。人口減少時代の課題解決に向き合う同社のビジネスモデルは、多文化共生の社会づくりと重なるのではないか。同社の各務智仁社長に話を聞いた。

少子高齢化、人口減少は政府にとって、極めて大きな政治課題だ。出生数の増加を目指す少子化対策には限界があり、労働力不足を補うには外国人の力を借りなければならない。それを証明するように外国人労働者など在留外国人は増え続け、2023年末には過去最高の341万人にのぼっている。前年に比べ33万人の増だ。都道府県では10番目に多い静岡県と並ぶ人口規模となっている。

インバウンドジャパンは2013年に設立された。各務社長は不動産会社に勤めていたが、不動産のプロは人口減少で地方に空き家が増えていることに目を付けていた。一方で外国人留学生や働く外国人の住居が不足していることも把握していた。会社の社員寮などの空き家を外国人に住居にできないか。そう考えて寮や空き家を借り受け、留学生など外国人に貸す事業を始めたところ、すぐに需要と供給のバランスがとれ、事業は順調に推移した。

借り受けた寮などは外国人専用のシェアハウスとして運用している。同社が事実上の家主のため、保証人を求めなかった。外国人に貸すのをしぶる大家が多い中、同社は外国人が借りやすい独自のシステムを構築した。2,3年でシェアハウスは都内で60か所に増え、いまでは首都圏を中心に100か所を数えるほどになった。

起業した時に1人だった社員は10人ほどになり、うち5人はインドやネパールなどの留学生OBだ。英語、ベトナム語、中国語、ネパール語など10か国語で対応できるスタッフをそろえた。母国語で希望の部屋を紹介するのも強みにした。

各務社長が不動産の外国人客との会話を通じて彼らのニーズを丹念に聞き取ったこともビジネスを広げるのに役立った。留学生が通う日本語学校や外国人を雇う企業関係者からも情報を集めた。その結果、不動産だけでなく、携帯電話の販売やアルバイトの紹介のほか。特定技能の登録支援機関の仕事も始めた。

同社の外国人向けの空き家賃貸ビジネスは、留学生サポートから始まったが、最近は外国人労働者を対象にした賃貸事業が増えている。各務社長は「企業が国人労働者を受け入れるには寮が必要だし、彼らが職場に定着させるには育成プランも作成しなければならない。私たちはセットでサポートできるなど多様なサービスが評価されているのではないか」と話している。

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12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
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日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
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29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
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10:00 AM 令和6年度生活指導担当者(初任)研修 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和6年度生活指導担当者(初任)研修 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
1月 31 @ 10:00 AM – 5:30 PM
当協会では、日本語教育機関における生活指導担当者の能力向上を図るため、標記研修を実施しております。 今年度におきましても下記により実施しますのでご案内申し上げます。 「認定日本語教育機関に求められる外国人留学生の生活指導支援とは」をテーマに講義とグループワーク及び懇親交流ネットワーク会(任意参加))の三部構成としました。 日頃の業務課題の解決・モチベーションアップに、ぜひご活用ください。 1 日時 令和7年1月31日(金)10:00~17:30 2 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 3 参加要件 日本語教育機関又は大学等教育機関の現場において、 実際に留学生の生活指導に携わり、原則 3 年以内の者。 4 参加費 維持会員機関 8,800円(税込)/1人当たり その他の教育機関  17,600円(税込)/1人当たり 5 応募締切:令和7年1月10日(金) 6 詳細、申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3245&f=news 〔問い合わせ先〕一般財団法人日本語教育振興協会 事業部 小野寺陽子 TEL:03-6380-6557 FAX:03-6380-6587 E-mail: nisshinkyo2@gmail.com

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