<やさしい日本語>はリアルタイム翻訳時代の必須スキル

【寄稿者:吉開章】

リアルタイム自動翻訳が変える、コミュニケーションの形

Googleは10月4日、「翻訳するヘッドフォン」、Google Pixel Budsを発表した。耳に差し込んだまま、40言語を自動翻訳する。


A few new things made by Google. Meet the new Google Pixel 2, Google Home Mini, Pixelbook and Pixel Buds. http://store.google.com Some products coming soon.

また日本のメーカーであるソースネクストは10月23日に世界50言語を翻訳する「POCKETALK」を発表している。


言葉の壁をなくす、通訳デバイス「POCKETALK」|ソースネクスト
https://www.sourcenext.com/product/pocketalk/

POCKETALK は、外国語が話せなくても対話できる、超小型の通訳デバイスです。対応する言語は50以上。英語はもちろん、中国語、韓国語、フランス語からペルシャ語まで通訳します。|パソコンソフトからAndroid、iPhone、iPadアプリまで。ソースネクストなら人気ソフトが勢ぞろい。ダウンロードしてすぐ使えます。

自動翻訳に欠かせないのが、音声認識技術だ。 Google Home、Amazon Echoなど、音声で操作するデバイスが部屋の中にも入ってくる。キーボードをタイプするのではなく音声で入力するのが当たり前の時代がすぐそこまで来ている。

今後異言語間のコミュニケーションは、このような翻訳デバイスを使うことが前提となっていくだろう。このような近未来において、日本で外国のお客様を迎える時のコミュニケーションはどのように変わるだろうか。

まず外国のお客様は「大事な情報はできるだけ多く、正確にほしい」と思うようになるだろう。日本人・お客様の共通言語を使い、どちらか低い方の言語能力の範囲で情報を提供する時代は終わろうとしている。

そしてお客様は日本人に「翻訳機が分かる日本語を話してほしい」と考える。「あなた日本人なんでしょう?ちゃんと日本語話してください」とクレームが出るかもしれない。ましてや片言英語は翻訳機の敵でしかない。

日本人の日本語は、文脈、すなわち話している言葉以外の情報によるところが多い。特に「自分」や「相手」に関する言葉はたびたび省略され、文末も曖昧にしがちだ。何かお願いする時に長い敬語を使っても、翻訳では混乱するだけである。同音異義語も、音声から翻訳する場合深刻な問題となる。

翻訳機の究極の敵は、なんといっても方言である。全国の地方に外国人のお客様が押し寄せている。豊かな方言を楽しむ外国人もいるだろうが、説明などでは方言が障壁になる。これまでは片言英語や通訳で対応してきたが、今後は一般的な日本語で話すことが求められるだろう。

<やさしい日本語>こそ、おもてなしの必須言語に

翻訳機がわかりやすい日本語、それは<やさしい日本語>そのものである。

印刷物やWebページなど多言語翻訳の観点での<やさしい日本語>の有効性はこれまでも指摘されており、2020年オリパラ大会に向けた多言語対応協議会も

今、期待を集めている「機械翻訳」においても、いったん分かりやすい日本語に直してから外国語に訳した方が意味の通る訳文になります。「やさしい日本語」は、そのような効果も期待されます。

と書いている。「やさしい日本語」について | 2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた 多言語対応協議会ポータルサイト

<やさしい日本語>はこれまで行政や公共施設が中心となり、情報の書き換えや発信の分野で発展してきた。しかしリアルタイム翻訳時代には、<やさしい日本語>が個人のスキルとして注目される。特に観光の現場では、望ましいというレベルではなく、必須スキルとして求められるようになるだろう。

やさしい日本語ツーリズム研究会は、日本語学習者を想定した「なかよくなるための<やさしい日本語>」というコンセプトで活動してきた。しかし時代の流れは想像以上に速く、日本語を学習したことがない人に接する時も<やさしい日本語>の有効性、いや必要性が明らかになってきたようである。

10月24日に、大阪外食産業協会に招かれ、居酒屋・飲食店関係者の幹部の方々に<やさしい日本語>について話をさせていただいた。講演で自動翻訳技術について紹介し、

「毎日会う外国人従業員の方には、毎日関西弁で話してください。そちらの方が仲良くなれます。でも、お店に来る外国のお客様には、関西弁を話してはいけない時代が来るかもしれません。片言英語より<やさしい日本語>が大事になるでしょう。」

と言ったところ、「んな、あほな」と突っ込んだ方は皆無だった。

吉開 章(よしかい・あきら)寄稿者

投稿者プロフィール

やさしい日本語ツーリズム研究会事務局長、株式会社電通勤務。2010年日本語教育能力検定試験合格。会員3万人以上の日本語学習者支援コミュニティ「The 日本語 Learning Community(Facebook参照)」主宰。ネットを活用した自律学習者に詳しい。2016年「やさしい日本語ツーリズム」企画を故郷の福岡県柳川市で立ち上げ。論文・講演実績などはこちら(WEB参照)。

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留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
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日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
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12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
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本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
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教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
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