東川町のファンを増やす短期日本語研修――好循環が生まれ――(第6回)

東川町のファンを増やす短期日本語研修――好循環が生まれ――(第6回)


[短期研修で上級クラスを受講する中国人留学生。右から趙さん、胡さん、周李さん]

北海道東川町立東川日本語学校の明るいカフェテリアで、冬休みを利用して短期留学に来た、中国人留学生に学校の評判を聞いた。

最年少の9歳で上海出身の趙語嫣(チョウ・ゴエン)さんは、母と親子留学。日本の同年代の子供たちと遜色ない日本語を話す。趙さんの母は日本に留学経験があり、上海で日系企業に勤務。子供が生まれた時から中国語と日本語のバイリンガル教育をしてきた。いずれは日本に移住することも視野に入れ、日本語を勉強させてきたそうだ。趙さんは「日本語の勉強はとっても楽しい」とにっこり。

杭州出身の大学3年生、胡思杰(コ・シケツ)さんは、冬休みを利用して日本語を学びに来た。日本のアニメやドラマが大好きで、大学生になってから日本語を勉強し始めた。しっかりと日本語を身につけたいと留学に踏み切った。雪が見たいというのもその理由の一つだった。

湖南出身の大学4年生、周李宇灝(シュウリ・ウコウ)さんは、いずれは中国と日本の比較文化研究をしたくて日本語を学んでいる。東川日本語学校は、自然に触れながら生活体験ができ、午後は日本文化に触れる活動が充実しているので、将来に役立つと考えたそうだ。

短期研修の上級クラスの3名に話をうかがったが、東川日本語学校を選択したのは、短期研修を積極的に実施している点やファシリティの良さ、そして自然環境の良さだそうだ。実際に留学してみると、想像していた以上に環境が良く、大満足しているそうだ。ランチタイムに話をうかがうことができたが、休憩時間が終わると3人とも仲良く、茶道の文化体験に出かけて行った。

東川日本語学校では3カ月以上の留学生が80名程度通っているが、短期日本語研修で訪れる留学生は年間で300名におよぶ。そして日本語学習と町の文化交流や観光を通じて、大好きになって国に帰っていく。まさに「世界に開かれた町」の〝真髄〟を見た気がした。良い体験をした留学生が国に戻ってその体験を語る、そのアナウンス効果は想像を超える。しだいに町の認知度が高まり、ブランド価値が上昇していく好循環を生み出しているようだ。

第7回:留学生は町に定住するのか――町立日本語学校の今後と課題―― につづく
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特集:日本語教育と地方創生

人口減少が急速に進む地方都市において、日本語学校を地域の活性化に結びつけている町があるのをご存じだろうか。北海道旭川空港から東に車で15分の東川町だ。2015年10月、日本初の公立日本語学校を開校し、町をあげて外国人留学生を歓迎している。「偽装留学生」や「デカセギ留学生」などと揶揄されることが多い昨今、地方の公設の日本語学校がどのように留学生と付き合っているのか。雪深い町立東川日本語学校を訪ね、その実情を通して、日本語教育と地方創生の可能性について考えてみた。

阿久津 大輔(あくつ・だいすけ)「にほんごぷらっと」編集長

投稿者プロフィール

日本語教育情報プラットフォーム設立時より事務局を担当し、フェイスブックページ「日本語教育情報プラットフォーム」の管理人として情報を発信。2017年9月よりネットメディア、言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」編集長。専門分野は外国人人材のキャリアプランニング。

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イベントカレンダー

6月
12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
6月
29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
11月
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7:00 PM 教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
教室内談話: 学習者間相互交流とL... @ オンライン(ZOOM)
11月 22 @ 7:00 PM – 12月 13 @ 8:30 PM
※この講座の内容は2022年実施分に準じます。 教室内談話: 学習者間相互交流とL2学習を考える 学習者同士が互いに話し合う活動は、近年の外国語(L2) 教室には不可欠です。また、学習者同士 が学習言語で対話する活動の意義やL2 習得における効果は、外国語教育において興味深いトピッ クの1 つです。本講義では第二言語習得理論を適宜参照しながら、外国語教室で行われる学習者同 士の対話の意義や先行研究で明らかになっている効能、より効果的な実践法や課題と展望について 考察を深めます。 【全4回】 日程: 第1回:2024年11月22日(金)19:00-20:30 第2回:2024年11月29日(金)19:00-20:30 第3回:2024年12月6日(金)19:00-20:30 第4回:2024年12月13日(金)19:00-20:30 内容: 第1回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語習得理論 第2回:「学習者同士のL2 対話」と第二言語学習 第3回:「学習者同士のL2 対話」と教師 第4回:「学習者同士のL2 対話」とこれからのL2 指導 【受講料】9,000円(税込)※1講座のみお申込み:2,500 円(税込)
11月
30
1:00 PM ビジネス日本語研究会 第38回 研究... @ オンライン(ZOOM)
ビジネス日本語研究会 第38回 研究... @ オンライン(ZOOM)
11月 30 @ 1:00 PM – 5:00 PM
テーマ:ビジネス日本語における「チームワーク」を考える 現在、外国人材を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。日本で働く外国人労働者の増加、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度の創設などにより、インクルーシブな職場づくりの重要性が増しています。そこで、第38回ビジネス日本語研究会では、「チームワーク」をテーマとします。経済産業省が提唱した「社会人基礎力」のひとつである「チームで働く力」を、インクルーシブな職場ではどのように考えるのか、日本企業で採用に関わる方々のお話も伺いながら、「チームワーク」について、様々な視点から考えます。当日は多くの方にご参加いただき、活発な議論、意見交換が行われることを期待しています。 また、併せて研究発表を実施いたします。

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