海外日系人大会、今年はワイキキで――ハワイ移住150年を記念して
海外と国内に在住する日系人が一堂に会し、国際交流と親善を深めるための海外日系人大会(海外日系人協会主催)は今年6月、ハワイのホノルルで開催される。例年は東京で開かれているが、第59回大会の今年は、日本人が初めて海外に集団移住した1868年のハワイ移住から150年の節目の年にあたることから、ハワイで開くことにした。
今大会の総合テーマは「世界の日系レガシーを未来の礎に!――ハワイ元年者150周年を祝って」。ハワイの日系社会が歩んできた歴史を改めて振り返るとともに、世界各国・地域の日系人のレガシー(歴史的遺産)にスポットを当て、日系社会同士の交流の強化につなげたいという。
大会は6月6~7日の日程でホテル「シェラトン・ワイキキ」で開催。初日は上智大名誉教授で同協会常務理事の堀坂浩太郎氏による「日本の近代化と移住――ヒトのネットワークをつくる」と題した基調講演のほか、パネルディスカッション、歓迎交流会が行われる。2日目は「ハワイ元年者150周年記念式典」、記念シンポジウム、日本政府主催のレセプションなどが開かれる予定。
今回の大会でも話題になるとみられるのが、7月から始まる日系4世の日本への受け入れ問題だ。日系4世については、「特定活動」の在留資格で受け入れるが、対象者は18~30歳、日本語能力はN4程度で、家族の滞在は許可されない。就労制限のない「定住者」の在留資格が付与されている3世までの受け入れより厳しい制限が設けられている。
在日の日系人は、1989年の入管法で「定住者」として受け入れたことからブラジルなどで「デカセギ」ブームが起き、その数が急増。一時は30万人を超えたが、2008年のリーマンショックで仕事を失って帰国する日系人が相次いだ。その際の日本語教育や子供の教育、雇用など、受け入れ体制の不備が指摘されていた。しかし、このところの中小企業などの人出不足が深刻化する中で、日系人側からも要望が出ていたことから日本政府は昨年から日系4世の受け入れを本格的に検討していた。
ブラジルのサンパウロで日系人の日本での就労のサポートをしている国外就労者情報援護センター(CIATE)の二宮正人理事長は海外日系人協会の情報誌で「4世以降の方々についても3世までと同様の定住者の在留資格が付与されることが望ましいと考えているので、そういった制度の実現に向けて働きかけていきたい」と話している。
海外日系人協会によると、海外日系人は平成28年度で推定380万人。移住先の国籍を取得する日系人が多く、日本語学習者も減少している。これに対し各国の日系人社会では日本や日系社会の文化、日本人としてのアイデンティティを形成するため日本語教育に力を入れ、同協会などがそうした取り組みを支援している。