日本語議連に期待する(インタビューシリーズ1)
- 2016/11/23
- インタビュー, ぷらっとニュース
- 外国人留学生, 日本語議連
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日本語議連に期待する(インタビューシリーズ1)
◎谷口吉弘・立命館大名誉教授(文部科学省の留学生関連の有識者会議の座長を数多く務める政府の留学生政策のキーマン)=聞き手・石原進
――日本語教育推進議員連盟の旗揚げをどう受け止めていますか。
谷口氏 人口減少社会、生産年齢人口も減っている中でグローバル化が進み、日本に在留する外国人が増加している。そこでコミュニケーション能力を高めるための日本語教育が極めて重要な課題になっている。これは国として、オールジャパンで取り組むべき課題である。その意味では日本語教育推進議員連盟ができたことは大きな意義がある。政治のリーダーシップを期待できるからだ。
――日本語教育の現状をどう見ますか。
谷口氏 国は大学の国際化としてどちらかと言えば、英語を重視している。留学生が英語で直接大学に入れる施策を打ち出している。日本語学習を必要としないことで、日本語学習や経済的な負担を軽減し、留学しやすいようにしている。そういうトレンドがあるが、圧倒的多数の留学生は日本語で授業を受け、勉強している。その中で日本語教育をどうしていくのか。国としては日本語学校の教育内容にまで目を向けていない。十分な取り組みができていない。日本語学校の教育の在り方、どういう留学生を受け入れるのか、ということが問われている。つまり日本語学校の質的な担保が大きな課題になっている。留学生を有能な高度人材に育成するためには、日本語学校という「入り口」が非常に重要だ。
――日本語学校へのアドバイスはありますか。
谷口氏 留学生が日本のビジネス社会で生きていくためのビジネス日本語の教育も大きな課題となっていている。それは大学が担うのか、というと必ずしもそうでなくて、やはり日本語学校に担ってもらわなければならない。日本語学校は日本留学の入り口だけでなく(就職という)出口でも重要な役割を担う。高度人材をできるだけ多く定着させることが、一億総活躍社会を作るうえでも重要になっている。そして、外国人が就職して定着するとその子供の日本語教育をどうしていくのかという事も課題になる。地方自治体か、NPOなのか、ボランティアなのか、そこもまだ整理されていない。
ダイバーシティ、多様な社会を作るために多様な人材を受け入れていかないと、将来、日本は成り立たなくなると認識しなければならない。その基本が日本語教育だろうと思う。
――日本語教育は海外でも重要ですね。
谷口氏 海外に日本語を発信していくことも当然必要だ。国際交流基金をはじめ多くの日本語学校が海外で日本語教育に携わっているが、それだけでは十分でない。アニメとか漫画に引き付けられて日本に来る留学生が少なくないが、日本語を文化の発信の重要なツールだと考えると、海外に目を向け、広く日本語教育を見直していくことは大事だと思う。