外国人支援・多文化ネットが名古屋入管局と懇談、国に「支援の提案書」を提出
愛知、三重、岐阜3県のNPOなどの外国人支援団体でつくる「外国人支援・多文化共生ネット」(代表・坂本久海子・NPO法人愛伝舎理事長)が、名古屋出入国在留管理局で会合を開き、同入管局幹部が参加をして、政府への「提案書」を提出した。「ネット」は同入管局のバックアップで7月に発足し、今回が政府に働きかける初の取り組み。「ネット」は会合後に記者会見し、来年の前半に自治体や経済界の代表らとともに、シンポジウムを開催し、外国人支援に取り組む立場から独自の「共生の視点」を打ち出す意向だ。
「ネット」は、名古屋入管の藤原浩昭前局長が政府の共生のための「総合的対応策」に「外国人支援団体のネットワーク化」の施策が盛り込まれていたことから、外国人支援団体に呼び掛けたことから発足した。支援団体側には外国人を雇用する企業に対して「外国人の生活面での支援」についての問題意識が低く、「外国人支援をNPOや自治体に丸投げしている」と指摘している。
この日の会合に参加したのは「ネット」参加の12団体のうち坂本代表をはじめ、10団体13人。名古屋入管からは北河首席審査官らが出席した。会合では坂本代表が提案書を名古屋入管側に提出し、そのポイントを説明した。
提案書では、①外国人への行政サービス向上のために行政機関の内部組織や、外国人と企業のネットワークの構築②日本や日本語や日本の慣習を知らないまま来日する外国人の多いことで地域の負担が増えているため、来日前の研修の実施③定住外国人への災害・防災情報の多言語での伝達する仕組みの構築④「多文化共生コーディネーター」の育成⑤発達障害の診断を含めた外国人児童生徒の教育制度の構築――の5項目の14の提案を盛り込んでいる。
また、会合では「企業では『労働力』ではなく、『共に働く仲間』として受け入れていく事が『共生』の実現に最も有効」「多文化共生が企業の文化となり、外国人が日本社会の構成員になることが 自治体の行政サービスを縦割りでなく、横断てきなものにしていくことにつながる」などの声が出た。
記者会見では、佐野豪俊局長が、「外国人支援・多文化生ネットは12団体となり、広がりを見せている。この会合は現場の生の声を聴く貴重な機会であり、現場レベルで抱えていることを解決できるように引き続き、支援をしていく」というコメントを出した。