日本語教育推進の基本方針の原案を議論 第3回関係者会議
- 2020/2/18
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日本語教育推進の基本方針の原案を議論 第3回関係者会議
日本語教育推進法に基づいて設置された日本語教育推進関係者会議(座長・西原鈴子日本語教育研究所理事長)の第3回会合が2月17日に東京都内で開かれ、日本語教育を推進するための基本方針の「素案」が提示された。基本方針の原案が初めて議論されたわけで、3月4日の関係者会議による最終の意見聴取を得たうえで政府の日本語教育推進会議によって策定され、6月に閣議決定される段取りだ。基本方針は向こう5年間にわたり政府が取り組む日本語教育の指針となる。
基本方針案のとりまとめは、関係省庁の局長クラスで構成する日本語教育推進会議が行うが、専門家から幅広く意見を聴くために関係者会議が設置された。関係者会議では基本方針を骨子の素案が2回にわたって議論された。第3回会合に事務局から提示されたのは、骨子素案に「具体的施策例」を盛り込むなど肉付けをした基本方針の素案だ。初めて全体像が示されたと言える。
この日の会合では、日本商工会議所と日本経団連の担当者のヒアリングが行われた。日本語教育推進法では、国や地方自治体とともに外国人を雇用する事業主の「責務」も規定している。6条には事業主に対して国や自治体の日本語教育に協力することや、外国人労働者とその家族に対する日本語学習の機会の提供などについては「支援に努めるものとする」と努力を求めている。
しかし、日本を代表する経済団体からは「責務」を感じさせるような発言はほとんどなかった。人手不足が深刻化する中で外国人労働者のニーズが高まっているとの認識を強調し、企業が求める日本語レベルや課題を訴えることに終始していた印象で、「支援に努める」との姿勢は見られなかった。こうした点について一部委員から懸念も声が出た。
外国人労働者は、1日のうち8時間は働く場で過ごす。日本語能力が最も必要とされるのは労働現場ではないのか。にもかかわらず企業や事業主が、「日本語教育は自治体やボランティアに任せればいい」といった安易な認識では、外国人の日本語能力のレベルアップは望み薄だ。
ところで、基本方針の素案は、ほぼ推進法の内容に沿う形で「第1章 日本語教育の推進の基本的な方向「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」「第3章 その他日本語教育の推進に関する重要事項」で構成。全文は以下のURLに掲載しているが、最終文書に至るまでにはこの日の意見などを踏まえてそれなりに修正が施される見通しだ。