コロナ禍で日本語能力試験も中止に 留学生30万人計画はどうなるのか?

コロナ禍で日本語能力試験も中止に 留学生30万人計画はどうなるのか?

新型コロナウイルスの感染が地球規模で広がり、国境を超える人の動きが大きく制限されている。日本も欧米、アジアの多くの国からの入国を規制し、外国人観光客ばかりでなく外国人留学生の受け入れも中断状況が続いている。こうした中で6月に予定されていた日本留学試験が中止され、海外の都市での日本語能力試験も中止決定が相次いでいる。

日本学生支援機構は国内外での日本留学試験の実施が困難だと判断し、5月13日に「2020年度日本留学試験(第1回)実施の中止」をホームページで公表した。6月21日の試験では受験の申し込みを受け付けており、受験料の返金については今後、手続きをホームページで明らかにするという。

7月に実施予定だった日本語能力試験については、主催する国際交流基金が4月10日に英国のロンドン、ベルギーのルーヴェンなど4都市の試験の中止を発表したのをはじめ、5月8日までに欧州やアジアの約40都市での試験の中止を発表している。日本語能力試験は2011年の受験者数が61万人にのぼり、世界最大規模の日本語の試験だ。

この2つの試験は、留学の在留資格を取得する際の目安となるもの。読売新聞は先に日本語学校の4月入学の学生の「入学ゼロ」が4割にのぼり、「入国待ち」が1万人を超えたと報じている。これは入国規制と航空便がストップしたためだが、日本語能力試験などが中止となると、日本語学校などの留学生の募集業務にも影響が出てくる。日本語学校の今秋以降の留学生の募集にも支障が出そうだ。

日本学生支援機構の調べでは、2019年5月1日現在の留学生数は31万2214人。内訳は大学8万9602人、日本語学校8万3881人、専修学校7万8844人など。日本語学校は前年比7%の減少となった。政府の「留学生30万人計画」はこの時点では達成された形だが、コロナ禍でその数が激減することは避けられず、政府も対応に苦慮している。

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令和7年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
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10:06 AM 第11回日本語教育支援システム研究... @ 英キール大学(Keele University)
第11回日本語教育支援システム研究... @ 英キール大学(Keele University)
8月 26 @ 10:06 AM
第11回日本語教育支援システム研究会(CASTEL/J)国際大会 第11回日本語教育支援システム研究会(Computer Assisted Systems for Teaching and Learning Japanese – CASTEL/J)国際大会を英国中部スタッフォードシャー州にあるキール大学(Keele University)にて英国日本語教育学会(BATJ)・キール大学ランゲージ・センターとの共催で開催することとなりました。 日本語教育支援システム研究会国際大会は、日本語教育関係者、日本語教育のリーダーに日本語教育におけるテクノロジー使用の最先端の動き、将来の方向性を共有する機会を作ってきました。2020年のパンデミックにより授業のオンライン化・ハイブリッド化が進み、それに加えて、この数年の人工知能(AI)技術の急速な発展と普及により、日本語教育は元より私たちを取り巻くテクノロジー環境が大きく変化しています。これらの技術的発展を効果的に教育・学習に取り入れ促進していくことは今まで以上に重要となっています。世界中からこの分野の優れた研究者、実践者が集まるこの国際大会に是非ご参加ください。 日時:2025年8月26日(火)〜27日(水) 会場:英スタッフォードシャー州キール大学チャンセラーズ・ビルディング 共催:英国日本語教育学会(BATJ)、キール大学ランゲージ・センター

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