コロナ禍の入国制限の裏に日本留学を目指す海外の学生の切実な声 将来の「希望」が「失望」に
新型コロナウイルスの感染拡大により厳しい入国制限が行われる中で、7月には東京五輪・パラリンピックが催される見通しだ。その一方で、外国人留学生の受け入れは依然として厳しく制限されている。このため留学生が激減した日本語学校が政府に窮状を訴え支援を求めるなどしているが、日本留学を夢見る海外の学生からは入国制限が長期にわたっていることで日本留学をあきらめ、韓国や中国への留学に切り替える動きが出始めている。海外から彼らの切実な声を集めたサイトがアップされた。
このサイトは題して「日本の入国制限—それが日本で勉強したい学生にどのような影響を与えているのか」(https://educationisnottourism.com/ja/homepage-2/)。主宰するのは「COVIT19禍の日本留学の扉を開く会」で、代表はイタリア出身で留学エージェント会社「ゴーゴーワールド」(東京都新宿区)を経営するダビデ・ロッシさんだ。カイ日本語スクール(同)の山本弘子校長が副代表としてサイトの運営をサポートしている。
ダビデさんらはコロナ禍で入国制限が長期に及んでいるため、日本への留学予定の学生らにアンケートを実施した。その結果、日本への留学を目指して日本語を学び、留学費用を貯めた学生たちから、「他の国では留学を受け入れているのにどうして日本はダメなのか」「オリンピックのアスリートや大会関係者を数多く入国させるのに留学生を受け入れないのはおかしい」などの声が数多く寄せられた。日本留学を夢見ていた学生や研究者らの日本への「希望」は「失望」に変わっているようだ。
サイトには日本語と英語でそうした海外の学生の投稿やインタビューが掲載されている。2020年4月に日本に留学する予定だったドイツ人は1年以上、入国を待たされ奨学金を失った。その学生は「アスリートや大会関係者の入国を決め、留学生を切り捨てようとしている」と日本政府を批判する。応用工学の博士号を持つインド人研究者は、オファーがあり日本で研究職に就くことになっていたが、「夢は実現しなかった」と嘆く。
こうした海外の学生らの声は日本政府や日本の国民に伝わっていないようだが、日本外国特派員クラブはオンラインで日本に留学を予定していたイタリア人学生の記者会見を開いた。記者クラブの以下のサイトは「留学生が日本国外で立ち往生」と伝えた。
ダビデさんから「にほんごぷらっと」にアンケートに寄せられた海外の学生らの「生の声」が届いた。6月1日現在、約2ヶ月の間で873件、65ヶ国から寄せられ、今も増え続けている。